平成15年度大阪優秀発明大賞
受 賞 決 定
当事業は、昭和51年より大阪府において、優れた発明を完成し、わが国の科学技術の発展に大きな足跡を残した人々の偉大な功績を顕彰するため、毎年実施しております「大阪優秀発明大賞」の受賞者が過日決定されました。
本年度の応募件数は13件で、厳正なる審査の結果、大賞1件、発明賞5件、功績賞1件を決定し、平成16年1月21日(水)大阪第一ホテルにて表彰式が挙行されました。
平成15年度大阪優秀発明大賞
「画像圧縮方法及び画像圧縮装置」 (特許第2684941号)
高 橋 俊 也 (松下電器産業株式会社)
<本発明の概要>
(背景と課題)
本発明は、デジタル画像を記録、伝送するために利用する、画像を圧縮/伸張する方法ならびに装置に関するものである。従来の画像圧縮方法では、インタレース画像に対し、空間的な相関を利用するため、1/60秒ごとのフィールド画像を2枚組み合わせて1/30秒ごとのフレーム画像をまず構成し、構成したフレーム画像を単位として圧縮を行っていた。
しかしながら、フレーム画像を単位とした圧縮では、動きが大きな場合、1/60秒ごとのフィールド画像が異なるため、結果として構成したフレーム画像内での空間相関が落ちてしまい、効率低下していた。一方、フィールド画像を単位とする方法も想定できるが、逆に動きの大きな画像は効率を保てるものの、静止部分が多い画像では効率が低下するという課題があった。
(本発明の特徴)
本発明では、動きの大小に応じてフレーム画像単位とフィールド画像単位の圧縮方法を切替えることにより、入力画像の動きによらず高い圧縮効率を得ることを可能にした。
圧縮装置では、入力したインタレース画像において、例えばフィールド間とフィールド内の2乗差分など動きの大きさを表す指標を計算する。次に、計算した指標に基づいて、フレーム画像単位およびフィールド画像単位の圧縮方法を動きに応じた区間ごとに切替える。さらに、フレーム画像単位の符号化をしているか、フィールド画像単位の符号化をしているかを示す識別子をフレームごとに圧縮画像データとあわせて伝送する。
本発明によって、従来の方法では効率低下を招いていた動きの大きな画像に対しても、最大20%圧縮効率が向上し、DVDなどの記録メディアへ本発明を応用した場合、最大20%記録時間を伸ばすことができる。本発明はデジタル放送、DVD に広く使われている画像圧縮方式MPEG-2の規格特許であり、さらに動画機能つき携帯電話などに使われていく画像圧縮方式MPEG-4の規格にも含まれている。
図1
本発明の画像圧縮装置 図2 本発明のフレーム/フィールド画像単位圧縮の切替え方法
平成15年度大阪優秀発明賞
・「健康食品「セサミン」 の商品化に関わる発明」 (特許第3001589号)
秋元 健吾 (サントリー株式会社)
新免 芳史 (サントリー株式会社)
ゴマに含まれるリグナン類(特にセサミン、エピセサミン)がコレステロール低下作用及び/又は中性脂質低下作用を有することの発見を、当該化合物を配合した飲食物に展開した。
・「低周波パルスMIG溶接方法」 (特許第2993174号)
上山 智之 (株式会社ダイヘン)
原田 章二 (株式会社ダイヘン)
土井 敏光 (株式会社ダイヘン)
小川 俊一 (ダイヘンスタッド株式会社)
本発明の低周波パルスMIG溶接方法は、消耗電極を一定のワイヤ送給速度で送給し、図1に示すように電極ワイヤ先端から離脱する溶滴をパルスに同期して移行させることのできる異なる二つのパルス条件を設定し,それらの条件を周期的切り換えることで見かけのアーク長や広がりを周期的にかつ安定に変化させることができる。
・「疲労き裂自己抑止機能を有する鋼板」 (特許第3298544号)
誉田 登 (住友金属工業株式会社)
藤原 知哉 (住友金属工業株式会社)
山下 正人 (姫路工業大学)
本発明による厚鋼板およびその製造方法により、局所的に発生した疲労き裂に対し、き裂成長を抑止する機能を有する鋼板を初めて社会に提供することを可能とした。
・「フレキシブルチューブ用ワンタッチ継手」 (特許第3288343号)
藤沢 正造 (大阪ガス株式会社)
倉谷 純一 (大阪ガス株式会社)
柴渕 利夫 (新和産業株式会社)
中岡 幹夫 (新和産業株式会社)
雁木 和良 (新和産業株式会社)
機械的強度と柔軟性に優れた抜け止め防止用メタル製ホルダーリングと独自のスライド機構を有したシールパッキンの開発を行うことにより、従来継手と同等以上の接続強度や気密性能を確保しつつ、最少の部品点数でワンタッチ接続に必要なホルダーの縮径・拡径等の動作制御を世界で初めて実現した。
・「レーダー探査用3次元可視化ソフト」 (特許第3409002号)
早川 秀樹 (大阪ガス株式会社)
本発明の可視化ソフトでは、深さ(反射時間)方向に反射信号の振幅が最大となる振幅値を抽出することによって、反射信号のSN比が低い局所的な埋設物の信号領域を、視認性の良い最大値2次元データとして表示できるだけでなく、操作者が最大値2次元データ上で指定する位置にリンクした3次元データに連接し、かつ所定のしきい値より大きい3次元データのみを自動的に抽出することによって、視認性の良い3次元データとして表示することができる。
平成15年度大阪優秀発明功績賞
中 村 邦 夫 (松下電器産業株式会社 代表取締役社長)